白石紬と「瑠璃色金魚と花菖蒲」を改めて考える会

 何故かこのタイミングで白石紬の憑りつかれたので、瑠璃色金魚と花菖蒲について考えようと思います。

 ミリシタから新規参入した白石紬さん、呉服屋を利用していたプロデューサーにスカウトされた単身石川県から上京してアイドルになったわけですが、コミュ1にてアイドルについて「幼いころの他愛のない夢を思い出した」とあります。ここから、白石紬さんはアイドルへの憧れを持っていたことが分かるかと思います。

 よって、本記事では以下のような前提条件で話を進めさせて頂きます。

前提条件1:白石紬はアイドルに強い憧れを持っていた

前提条件2:白石紬はPにスカウトされた時点ではアイドルを目指した行動はしていなかった。

 そんな白石紬さんの最初のソロ曲が「瑠璃色金魚と花菖蒲」

 それではまずニコニコ大百科の記事の説明を見てみましょう。

ゲーム開始当初から話題をさらった、イメージに似合う和風ロックナンバー。次第にしさを増すギターの音に乗せて、募らせていく想いを歌に託す。

金魚視点からはと佇むへの遠い憧れ、視点では美しく咲く姿に隠された苦悩が描かれる。メインコミュでの今の自分と理想とする自分、周りに期待される自分と本当の自分のギャップに思い悩むの姿がそれぞれに重なり合う。

 瑠璃色金魚と花菖蒲とは (ルリイロキンギョトハナショウブとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 

 凡そ同意できる内容です。この曲の大きなテーマの一つとして「憧れ」は欠かせないかと思います。

 特に面白いのが、大百科記事にもあるように瑠璃色金魚の視点と、花菖蒲の視点の二つが存在していることです。

 ここで私は、というか何人か既に言われていることかと思いますが

瑠璃色金魚:アイドルになる前の白石紬

花菖蒲:紬が憧れるアイドル像

として、歌詞を考えていこうと思っています。

 一点断らせて頂きたいのですが、この記事は自分の考えをまとめるために書いたものであり、情報としてはまるで整理されていないためかなり読みにくいと思います。一番最後に出来る限り纏めようとは思いますが、ご容赦ください。

 時間の無い方は「まとめ」だけ読んで頂ければ大丈夫かと思います。

 なお、私は作詞経験も無ければ日本語すら怪しい人間ですのでご容赦ください。

 

1.歌詞で分からない部分を列挙する(ジャンプ推奨)

歌詞を抜き出して私が考えていることを羅列してみます。

ここは自分の考えを整理するために殴り書きしている段階なので読み飛ばして頂いて大丈夫です。上の目次からジャンプできます。 

 

瑠璃色金魚は恋焦がれる 凛と咲き誇る花菖蒲

「恋焦がれる」だとただ憧れるだけでなく悩み苦しむ表現も含まれているように思います。だけどPと出会った時点では、紬はアイドルになりたくてなりたくて苦しんでいるようには見えませんでした。

 

吐き出す空気は泡の模様 決してあなたの心に 届かないの

主語は瑠璃色金魚として、ここでの「吐き出す空気」「泡の模様」は何を指しているのか

 「あなた」とは何を指しているのか

何故あなたの心には届かないのか

 

はなびらひとひら 水面に落ちて震える指先

「はなびら」は花菖蒲のもの。では「水面に落ちて震える指先」は何を指しているのか

 

時間が止まるわ 目が覚めた余韻の余白

 主語は瑠璃色金魚として、何故時間が止まるのか。何から「目が覚めた」のか

「余韻の余白」とは何か

 

外の世界は ねえ なんて眩しい

「外の世界」とは恐らく水中ではない世界=アイドルの世界と考えています

「眩しい」はそのままポジティブな意味と捉えていますが下に続きます

 

嘘だとしても罪深過ぎたの

ここで急にネガティブな表現。「嘘」とは、「罪深過ぎた」とは。

 

眩暈がしても心地良いのは もう 求めてるから

 ここで陶酔的な思いが口にされます。

「もう求めてるから」とは何が起こったのか

 

瑠璃色金魚が見上げるのは 凛と佇んだ花菖蒲

私あなたのようになれたら もっと上手く微笑えますか

「あなた」とは何か。

「もっと上手く微笑えますか」と聞くと、現状の自分に満足していないようなニュアンスを受けます。 

 

灯した明かりは燃えないまま

「消えないまま」と来ると思っていたタイミングで「燃えないまま」ときました。

灯しているのに燃えない。とはどういう状況か。

 

今も青く棚引いている

棚引く:長く薄く連なっている様子。雲や霞が空に漂う様子も指す。

「青く」が何を示しているのか。高温の炎、瑠璃糸金魚の尾。どちらも後ろの表現につながるかなと思います。素敵。

この後に熱の高さが伺える歌詞が続くのですが、現時点では「棚引く」という儚い表現を用いていることが気になります。

 

曇ったガラスを溶かすほどの

熱の強さを表しているものかと思いますが対象を「曇ったガラス」としたのが気になる。上の表現と合わせて自分の心に靄がかかっているような印象。

 

秘密もしかして私 持ってますか

「秘密」って何!?

自分の話を「もしかして私持ってますか」って言うのは何故!?

 

雨は空に落ち 愛すれば消えるものと思ってた

「雨は空に落ち」は見上げた水面(空)に雨が落ちる表現でしょうか。

それが「愛すれば消える」とは?

 

鏡の世界に 逆さまに映った好奇心

ここでは水中から水面を見上げ映った景色のことを指しているのでしょうか。

ただ、水中から見上げて反射して映るのは水中の様子です。

なのでこの表現だと水面から顔を上げて、水面に反射した花菖蒲を見ているという場面になるかと思っています。

 

湧き上がる想いを 掬いあげては

砂糖漬けにしてまた飲み込むの

ここで急に主体が謎になりました。「掬いあげる」という行為は水中では行えません。

前の表現と合わせて、既に水中から体を出しているのでしょうか。

もしくは「想い」を掬っているのでしょうか。

掬いあげてるのは、砂糖漬けにしているのは何でしょうか。

 

あなたにいつか 味見して欲しいと 夢を見ながら

「あなた」とは何か。

「味見」とは何か。「味わって欲しい」ではなく「味見して欲しい」なのは何故か。 

 

瑠璃色金魚が知らないのは 強く根を張った花菖蒲

ここでの「強く根を張った」は「力強く芯の通った」というポジティブな意味が主かと思いますが、

考えようによっては「その場から動けない」というネガティブな意味も考えられる

 

目の前に見えるもの全てが 現実ってことはないの

現実ではないということを気付く何かがあった?

上の表現と合わせて、花菖蒲の美しい姿の背景にある何かを表している?

 

あの時触れてくれた温もり 光無くしては枯れていく

「触れてくれた温もり」とあるので、この時点で瑠璃色金魚視点ではなくなっているような気がする。

「光無くしては枯れていく」は花菖蒲に対しての言葉だが、アイドルに置き換えると「光」とはファンや応援という意味だろうか。それでは「枯れていく」とは。

 

悲しみで泣く私の涙 また毒になってしまう 抜け出したい

「私」は紬を指すとして、何が悲しいのか。上の「枯れていく」とかかっているとしたら・・・。

「毒になってしまう」とは何か。花菖蒲(≠菖蒲)の根茎には毒性物質が含まれているとされていますが、ここで花菖蒲をアイドルに置き換えた場合の「毒になってしまう」とはどういう状態を指すのか。

「抜け出したい」はある特定の場所からの逃避を指す。紬が現状から抜け出したいと思っているのか、アイドルが芸能界から抜け出したいと思っているのか。

 

瑠璃色金魚が見上げるのは 凛と佇んだ花菖蒲

私あなたのようになれたら もっと美しく咲き誇れますか

「あなたのようになれたら」なので紬にとって「あなた」は美しく咲き誇っている存在

「咲き誇る」なので力強く、堂々としているイメージ。

 

瑠璃色金魚が知らないのは 強く根を張った花菖蒲

目の前に見えるもの全てが 現実ってことはないの

あの時触れてくれた温もり 光無くしては枯れていく

悲しみで泣く私の涙 また毒になってしまう 抜け出したい

私きっと

「私きっと」の後に続く言葉は何か。

もしくは「抜け出したい」にかかっているのか。

 

まずは自分が歌詞を見て思ったことを殴り書きしてみました。

 えっ、この量を整理しないといけないの・・・?(絶望)

 

2.一つ一つの歌詞を紐解いていく 

2-1.意外と多いネガティブな表現 

 憧れ、と聞くと通常はポジティブなイメージを持たれるかと思います。ですが、考えを列挙していて改めて思ったのですがこの歌詞にはネガティブな表現が多く見られました。

 「瑠璃色金魚が花菖蒲に憧れている様子」だけであれば、自分とは違って凛と佇む姿と、金魚は決して花菖蒲にはなれないという「憧れと自分との乖離」をテーマにして葛藤や焦燥を表現するのは有りだと思います。例えば歌詞の中に出てくる「決してあなたの心に届かないの」「私あなたのようになれたら」などはその表現だと思います。

 ですが、この歌の歌詞の中にはそんなレベルではないネガティブな表現が多数見られます。

 仮に「瑠璃色金魚=アイドルになる前の白石紬」「花菖蒲=白石紬が憧れるアイドル像」として表現を整理してみましょう。

 

外の世界は ねえ なんて眩しい

嘘だとしても罪深過ぎたの

 外の世界=瑠璃色金魚の住む世界の外=花菖蒲のいる世界=アイドルのいる芸能界 と考えています。それを「なんて眩しい」と表現するのは素直に受け取れます。アイドルになる前の白石紬にとって、芸能界が眩しく輝いて見えたのでしょう。

 それを「嘘だとしても」と一蹴します。白石紬にとって芸能界は「嘘」なのでしょうか。アイドルになる前の白石紬は、芸能界の何を見て「嘘だとしても」と感じたのでしょうか。

 我々一般人が「アイドルなんて実際純粋なハズないだろwww」とか言うのとはワケが違います。芸能界に憧れ、自らもアイドルのようになれたら、と願っている少女が「嘘だとしても」と言っているのです。自分が憧れている存在を「嘘」と称してしまうのは何故でしょう。

 となると「罪深過ぎたの」とは、そんな嘘にまみれた芸能界であっても紬の心をつかんで離さない、という意味に捉えることが出来ます。

 この時点で、白石紬はただ芸能界に憧れていただけではない。と私は妄想します。

 

あのとき触れてくれた温もり 光無くしては枯れていく

 個人的に一番重たい歌詞です。明確にネガティブな表現が並んでいます。作詞家の方の意図を完全に汲みとることは不可能ですが、何か大きなことを伝えたいのでなければここまでネガティブな表現を並べることは無いと思います。

 まず「あのとき触れてくれた温もり」ですが、ここで「花菖蒲が瑠璃色金魚に触れてくれた温もり」と捉えるとおかしくなってしまいます。花菖蒲が瑠璃色金魚に触れることは物理的にできません。

 なのでこの文章は「白石紬が、アイドルに触れた際に感じた温もり」と捉えています。握手会などで実際に触れているのか、テレビでアイドルを見て温かさを感じたことを「あのとき触れてくれた温もり」と表現しているのかはわかりません。

 ですが、「テレビを通してアイドルの温もりに触れた」である場合、適切な表現は「あの時触れた温もり」だと思います。「触れてくれた」ということは、アイドル側から白石紬に対して手が差し伸べられており、少なくとも白石紬がただアイドルに触れただけでなくアイドル側から「与えられた」という条件が必要になります。

 なので私は、白石家の呉服屋にアイドルが訪れ、そのファンであった白石紬からの握手の申し出にアイドルが応えたことを「あのとき触れてくれた温もり」と表現されたのだろうと妄想しています。なんとなく幼い紬がアイドルの握手会に行くシーンが思い浮かばなかったんです。

 そしてその後に「光無くしては枯れていく」です。激重。ここでの「光」とは花菖蒲の生育に光合成が必要なことにも掛かっているものと思います。素敵な歌詞ですね。

 ですが、ここでの花菖蒲はアイドルを指しているので「光」とはアイドルがアイドルであるために必要なもの。プロデューサーやスタッフ等様々なものがありますが、ここではそれをキラキラと輝く「光」として表現しているので、アイドルにとって必要な「ファン」や「応援」であると捉えています。

 つまりここでの「光無くしては枯れていく」とは「思うようにファンを集められなかったアイドルが芸能界を引退する」を指しているのではないでしょうか。激重。死ぬ。これ白石紬のデビュー曲やぞ。なに考えてるんだこのプロデューサー。

 

悲しみで泣く私の涙 また毒になってしまう 逃げだしたい

  上の激重展開から続いてこの歌詞です。重すぎる。

 上のような妄想をしていると「悲しみで泣く私の涙」とは「好きだったアイドルが芸能界を引退して悲しみに暮れる白石紬」なのではないかと妄想することが出来ますね。

 問題はその後の「また毒になってしまう」です。この歌詞は花菖蒲の根茎がアルカロイド系の毒性物質を含むことにも掛かってると思います。素敵な歌詞ですね。素敵な歌詞ですね!!!

 「毒になってしまう」とは何か。相手を傷つける言葉を言うことを「毒を吐く」と言いますね。 そしてここでその毒になるものとは「悲しみで泣く私の涙」です。

 つまり「好きだったアイドルの引退を悲しみ涙を流してしまっていたが、その想い(≒涙)がやがてネガティブな感情に変わること」を「毒になる」と表現しているのではないかと妄想しています。

 それならばこの後の「逃げ出したい」という言葉もそんな醜い感情に変わってしまう自分に成りたくない、という意味で逃避を示しているのではと考えています。上の考え方の列挙で挙げていたような「芸能界からの逃避」では視点がアイドル側になってしまいますし、「紬の現状からの逃避」だと紬が現状に不満を持っていることになってしまいますからね。

えっ、重っ。

 

2-2.意味の捉え方の難しい歌詞についての整理

 

灯した明かりは燃えないまま

今も青く棚引いている

曇ったガラスを溶かすほどの

秘密もしかして私 持ってますか

 まず「灯した明かりは燃えないまま」という歌詞の解釈が難しかったです。灯してるのに何で燃えてないの?

 文脈よりここの「明かり」は「アイドルへの憧れ」を指すものと考えています。「灯す」という言葉は明かりを「点ける」という意味があり、それ自体例えば蝋燭であれば火をつけるという意味を持っていますが、ここで重要なことは「紬の心の中に既にアイドルへの憧れという明かりは灯っているが、まだ燃え上がってはいない」ということかと思います。燃えるという言葉を「燃え上がる」と解釈すれば、「今も青く棚引いている」の部分を「心の中で燻っている」と捉えることもできます。

 炎が燻っているときはよく煙が出ます。その後の「棚引いている」という言葉は雲や霞が空に広く漂っている様子を示す言葉ですが、燻っている炎から発生する煙を雲や霞に例えているものと思います。この言葉の前に「今も」と付いているので、ただ燻っているだけでなく、過去から現在までずっと紬の心の中で燻っていることが伝わってきますね。また、横に長く揺らめくものを示す表現であり、その前に「青く」という言葉もついていることから瑠璃色金魚の美しい鰭にも掛かる言葉かと思います。素敵な歌詞ですね。

 これがその後の「曇ったガラス」にもかかってくるかと思います。「曇ったガラス」と言われると、まず初めに「瑠璃色金魚が住んでいる金魚鉢のガラス」が思い浮かびます。金魚が金魚鉢のガラスを溶かして外に飛び出す描写ですかね。素敵な歌詞ですね。一方で、曇ったガラスとは「紬自身が感じている心の靄(モヤ)」も指しているのではと思います。上記のように紬の中で灯ったアイドルへの情熱が燻り、紬の心の中でずっと渦巻いているような。そんなモヤモヤした気持ち。

 そしてそんな曇りを溶かしてしまうほどの「秘密もしかして私 持ってますか」と尋ねています。ここでの「秘密」とは、「魅力」と読み替えても良いのではと思っています。そんな心のモヤモヤを払うほどの魅力を自分が持っているのか不安になり訪ねているところですね。それでは何故「魅力」ではなく「秘密」なのか。ここではアイドルになっていない自分の「秘めている魅力」を指しているからかなと思っていました。紬自身のミステリアスな魅力にもかかっている言葉なのかなとも思いましたが、紬が自分のことで「ミステリアスな魅力」とは思わないだろうなという意味も込めて。

 ここでの内容をまとめると、

 昔から今までずっとアイドルへの想いが燻っていたが、その躊躇いを打ち払うほどの魅力を私は持っているのでしょうか

 かなと私は妄想しています。紬の性格が表れた素敵な歌詞だと思います。応援しなきゃ。

 

雨は空に落ち 愛すれば消えるものと思ってた

鏡の世界で逆さまに映った好奇心

  「雨は空に落ち」とは金魚から見た水面を空に例えて、そこに雨が落ちていることを示しているものかと思います。それでは「愛すれば消えるものと思っていた」とはどういうことでしょうか。

 一旦次の歌詞について考えたいと思います。「鏡の世界で逆さまに映った」とは水中ならば様々な場面が想定できます。ですが「逆さまに映った好奇心」の好奇心がアイドルへの好奇心を示すのであれば、ここで映っているのは瑠璃色金魚(≒白石紬)自身だと考えられます。

 その場合、水中から一定(約49°)以上の入射角で水面を見ると水面が鏡面のように見えますが、ある程度大きな入射角で見る必要がある一方で自身を見るためには垂直に近い角度が求められるので、水面で自分の姿を見るというのは難しいかなと思います。なので、水中の瑠璃色金魚が陸上の花菖蒲を見上げる形(図1)で、自身の姿を見てしまったというのは考えにくいかなと思っています。ここでは瑠璃色金魚は金魚鉢から花菖蒲を眺めていて、そのガラス面に自分の姿が映った、その際に好奇心に満ちた自分の姿を見たものと考えています(図2)。

f:id:kamepppppppp:20200322124512p:plain

瑠璃色金魚が花菖蒲を眺める際の状況

 まぁ瑠璃色金魚が野生に居るかというとおそらくいないと思いますが、ここで改めて瑠璃色金魚が金魚鉢の中で飼われている存在であることが確認できたということで、この瑠璃色金魚が所謂かごの中の鳥のような、自由が制限されたような状態であると想像できます。アイドルになる前の白石紬自身の境遇にも重なるところがあるのでしょうか。この辺りは紬が自身の環境をどのように感じていたかにもよると思いますし、私は紬はそこに不満を持っていたわけではないとは思っています。

 話を戻しますが「鏡の世界で逆さまに映った好奇心」については「花菖蒲(≒憧れのアイドル)を眺めていて、自身の持つ好奇心にも気づいてしまった」と捉えています。

 それではさらに話を遡りましてその前の歌詞について。まず「愛すれば消える」の消えるものが何なのか考えていこうと思います。

 この歌詞は2番の最初に出てきます、なのでその前の歌詞とは一度切り離して考えようと思います。この歌の大きなテーマとして「憧れ」があると述べていたので、愛すれば消えるものとは「憧れ」や「アイドルのなりたいという想い」であると考えてみましょう。というか他に消えそうなものが見つからなかった。

 そうするとこの歌詞は「(アイドルをより)愛すれば(アイドルに成りたいという想いが)消えるものと思ってた」と読めるかと思います。そしてその後上の好奇心に気付く描写につながるわけですね。在りし日の白石紬さんは、いっそ熱心なファンにでもなろうとしたのでしょうか。

 この意味として考えた上で、「雨は空に落ち」の部分との繋がりを考えてみましょう。先ほど「雨が空に落ち」とは瑠璃色金魚の視点で「雨が水面に落ちている」ことだろうと述べさせていただいていましたが、これは紬自身の心の揺らぎ、乱れを表しているのではないかと考えています。

 アイドルになりたいという想いを捨てようと、より熱心にアイドルを見ようとすればするほど、自身の持つ憧れを直視してしまう。

 こんなところでしょうか。

 

湧き上がる想いを 掬いあげては

砂糖漬けにしてまた飲み込むの

 なかなか独特な表現です。まず「湧き上がる想い」とは前の文脈から「アイドルに成りたいという想い」と捉えて良いのではと考えています。

 次に「掬いあげては」という表現ですが、想いを汲むことはあっても「想いを掬う」という表現は私の知る限りでは存在しません。「汲む」と「掬う」はどちらも液体を持ち上げる表現ですので、金魚に合わせて「掬う」という表現を使ったものと考えています。素敵な歌詞ですね。

 ですが、ここまでの歌詞の中に「掬う」という動作を出来るモノは存在していません。白石紬は瑠璃色金魚で、憧れるアイドル像を花菖蒲としたとき、花菖蒲は瑠璃色金魚のいる水槽から水(≒想い)を掬いあげることは出来ません。なので私はここで瑠璃色金魚(≒紬)の想いを掬いあげているのは「自分を客観視した白石紬自身」だと考えています。アイドルに成りたいと願う自分(≒瑠璃色金魚)の想いが籠った泡を、冷静な自分が掬いあげて、砂糖漬けにして飲み込むわけですね。切ないです。

 じゃあ「砂糖漬けにしてまた飲み込むの」とは何でしょうか。何を砂糖漬けにしているのでしょうか。とりあえず私は「金魚 砂糖漬け」「花菖蒲 砂糖漬け」で検索しました。ヒットしませんでした。よかった正気を失った人間はまだ居なかったようです。

 私はここでの「砂糖漬け」を「塩漬け」に近い意味で用いているのではないかと考えています。「塩漬け」とは不動産などの資産を長期間保有し続ける意味でも使われますが、何か入手したものを使用せずに保管するという意味でも使われます。ここでは紬のアイドルに成りたいという想いを、表に出さずに秘めておくという意味で用いられているような気がします。

 その後の「また飲み込むの」というのも「想いを飲み込む」と捉えると、考えていることを口に出さずに心に秘めておくこと、という意味につながりますね。

 そして、何故塩漬けではなく砂糖漬けなのか。それはアイドルに成りたいという想いが紬にとって塩辛いものではなく、甘く魅力的なものであったからだと考えています。そんな想いを掬いあげては、捨てることなく自分の心の中に溜め込んでいく、白石紬のいじらしさが感じられる素晴らしい歌詞だと思います。

 いや書いてて思ったけどホント神がかった歌詞だな

 

あなたにいつか 味見して欲しいと 夢を見ながら

 ここでの「あなた」については後述させて頂きますが、ここでは「紬が憧れているアイドル」と説明させて頂きます。「アイドル像」ではなく特定のアイドルです。

 「味見」という味覚に纏わるワードが出てきたので、ここでは味見して欲しいと夢を見ているのは砂糖漬けにした想いなのではと思っています。

 砂糖漬けのようにとても味の濃いものなので「味わって欲しい」ではなくて「味見して欲しい」なんだろうと妄想しています。少しで良いから自分の想いに触れてほしい。そんな白石紬のいじらしさが感じられる素晴らしい歌詞だと思います。さっきも言ったけど紬のいじらしさは最高だぞ。

 

3.全体を通した歌詞の捉え方

3-1.「あなた」とは誰か

 最初に花菖蒲とは「白石紬の憧れるアイドル像」であるだろうと述べさせていただいていました。ですが「あなた」とは二人称であり、明確に一個体を指す呼称です。なのでここでは「花菖蒲=白石紬が憧れるアイドル像」「あなた=白石紬が憧れた特定のアイドル個人」であるだろうと考えさせて頂きます。

 

3-2.紬と、紬が憧れたアイドル(≠アイドル像)の関係とは。

 あなた(=ある特定のアイドル)から紬がアイドルへの想いを募らせ、芸能界の厳しさを知り、この想いを毒に変えたくないと願わせるに至らなければなりません。一体何が起こったらそうなるんだ。無理やり考えてみます。

 以下、急にポエムが始まります。純度99%の妄想です。正直全然読まなくて大丈夫です。

 

 紬がまだ小さいころ、現在が17歳なので小学校高学年くらいの時でしょうか。紬は何らかの形でそのアイドルを目にします。おそらくテレビではないと思います。テレビに出ているようなアイドルは「光無くしては枯れていく」様子をお茶の間には見せないのではないかと思います。

 なので、ここでは「両親と買い物に行った際、たまたま地元のアイドルがライブをしていたのを目撃した」とでもしましょうか。切っ掛けは何でも良いと思います。

 そこでアイドルの輝かしいステージ、素晴らしい笑顔を目撃したことでしょう。こうして幼い白石紬に「アイドル」という存在が強く根を張りました。でも、もしかしたらこの時点ではまだ「アイドルになりたい」と願うまでには至っていないかもしれません。

 その後、習い事や実家の手伝いをしながら日々を過ごす白石紬の前に、以前ライブで目にしたアイドルが現れます。例えば、白石家の呉服屋を訪ねてくる展開でも良いでしょう。当然紬はとても喜びます。ファンであることを伝え、握手を申し出ます。アイドルはそれに快く答え、紬の手を取ります。その時紬は体温以上の温かさをその手から感じたことでしょう。この体験は紬の中に強く残ります。それこそ夢に見るくらいに。こうして紬はアイドルという職業に強い憧れを抱きます。アイドルについて調べたり、アイドルの真似事をしたり。

 そんな幼く純粋な紬に、残酷な現実が伝えられます。例のアイドルが所属している事務所の倒産 or アイドルの引退。理由は収益の悪化でも不祥事でも何でもいいですが、大人の事情としましょう。アイドルという世界が輝いて見えていた幼い紬にとって、「アイドルというのは外から見える輝かしい部分だけないんだ」ということを知らしめるのには十分な出来事だったと思います。これまでアイドルに強い憧れを抱いていた分、その感情がネガティブな方向に向かった場合の恐ろしさも実感できたと思います。

 そんなわけで、紬はアイドルを志すのを止めてしまいます。学校や家業など日々を忙しく過ごすことでその想いを晴らそうとし、外からは全くそんな風には見えませんが、テレビ等でアイドルに触れるたびに、過去の自分の想いが喉元まで上がってきて、それを何度も何度も飲み込み、いつもの自分であり続けます。

 そんな中、765プロのプロデューサーが現れ。。。

 

上のポエムからは自分でも何が言いたいのかサッパリ分かりませんが、要約すると

 

■あなた=紬が憧れた特定のアイドル

■紬にとってそのアイドルは堂々としていて、夢に見るほど魅力的だった

■そのアイドルを通して芸能界の何らかの事情が垣間見えてしまった

■それを機に、紬はアイドルを志すのを辞めた。辞めようとした

■想いを断ち切ったつもりだったが、ことあるごとに込み上げてくる想いを飲み込み続けていた

 

のではないかと考えています。うわぁなかなかエグい関係性。

エグいの好き。

 

3.まとめ

 白石紬はただ面白くて可愛くて顔が良いだけのアイドルじゃないっぽいぞ!!!

 

この歌についての現状の考えを整理すると以下のようになるかなと思います。

 瑠璃色金魚は、アイドルになる前の白石紬の境遇を重ねたもの。あなた(≒紬が過去に出会った特定のアイドル)のように凛と佇む花菖蒲(≒紬が憧れるアイドル像)に成りたいと思っていたが、その想いを口にすることは無かった。だが想いを断ち切ることは出来ず、ことあるごとに想い起こされるも飲み込み続けていた。

 

 ・・・なんか要約すると当たり障りのない内容になってしまいましたね。非常に面白くない。でも上のポエムみたいな、紬に何があってアイドルに強い憧れを抱くに至ったのか、そのアイドルにどう出会ったのか、何をしたのか、そのアイドルに何が起こったのか、その時紬は何を感じたのかなどといった、妄想の余地がかなりあることが分かりました。白石紬はいいぞ。

 白石紬の過去が面白そうだからみんなで考えようぜ!!!

 たぶんコミュ4,5とかで明かされたりするのだろうか。二次創作は公式がやる前にやろうって祖母が言ってました。早い者勝ちです。書きましょう。

 

 私は白石紬についての知識が浅いので、おそらく間違ったことも沢山言っているでしょうし、違った意見も多くあるかと思います。

 これからもゆっくりと白石紬を知っていこうと思いますので、何卒ご容赦願います。それでは。

 白石紬はいいぞ!!!!!!!